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黒須育海 ダンサー・振付家  
「男性中心と創作過程」


©bozzo

  私の作品が成り立っていく特徴や過程を考えると、メンバーを構成する大部分が男性であることが挙げられる。それは数年前からずっと私のイメージの中でやってみたいことの一つであった。昨年から自身の活動で様々な繋がりがあり、今の男性メンバー(歌川翔太、金子祐平、手塚バウシュ、中村駿)が集まるようになった。

  男性の、ダイナミズムな動きのなかにも細部まで意識の通った繊細なイメージを持たせた振付をしている。また、多様な生物の身体を分解して再構築させるイメージを持たせることで、中性的で無機質な身体を作り出し、そこから新しい動きを生み出すことを意識している。また、男性中心のグループとして、この動きの中で感情や情景などの関係性を表現していくことの新しさを追求していきたい。

  私のグループはダンス未経験のメンバーも在籍している。新たに加わったメンバーの金子は特に私の興味をそそる。新しく作った振付に対して「さっきの方がいいですね」「独特で気持ち良いですね」といった意見でスパッと私を切ってくる。これだけ有難いことはない。稽古場では、踊り手が互いの動きに対して意見を出す場を作っている。この場から「教える」という行程が自身の新たな発見に繋がると考えている。ワークショップを行うと毎回違う発見がある。作品を作っていくなかで、私やメンバーから生まれる情報をヒントに如何に個性を引き出し、把握できるか、振付家として楽しいところである。

  私の「創作活動」において、過去に踊ってきた振付家の影響が大いにある。22歳で初めてオーディションを受け、東野祥子さんの作品に参加した。その後は関かおりさんのもとでしばらくお世話になった。私が携わってきた振付家にはそれぞれが持つ強い個性があった。その振付家の個性を残しつつ、十二分にダンサーの体質、性格を含めた細かな特質を把握していた。そんな振付家のもとで踊り、学べたことが今の自分の大きな糧となっている。

  私が振付する過程で、踊り手に渡す「イメージ」は一概に同じではなく、それぞれが違うニュアンスで創造を膨らませてほしいと考えている。「イメージ」を事細かに伝達すべきだと感じるかもしれないが、この「イメージ」が踊り手の「特性」「個性」に発展すると考え、過程をとても大切にしている。最終的には私の好みやイメージを足していくことになるが、新しいものにこだわっているつもりである。





黒須育海 Ikumi Kurosu
87年生まれ。東野祥子、関かおり、近藤良平などの振付家の元で活動しつつ、自身の作品を創作してきた。「横浜ダンスコレクションEX2015コンペティションⅠ」にてシビウ国際演劇賞、Touchpoint Art Foundation賞をW受賞。「ダンスがみたい!新人シリーズ13」にて新人賞受賞など。 ikumilala9@gmail.com

次回公演
・ハンガリー公演 2016年6月





[artissue FREEPAPER]

artissue No.005
Published:2015/08
2015年8月発行 第5号
 
鈴木ユキオ ダンスとは何か わからないなりにわかろうとするエッセイ
スズキ拓朗 観れる!観たい!のダンスを創る! ~既視感のある作品なんて観たくない~
手塚夏子 「ダンス」の幅、線引き、別の可能性
工藤丈輝 処々雑感


 
「コンテンポラリーBUTOHダンサー」の旅は続く 石本華江
「挑戦心光る異色のパーカッション・パフォーマンス」 立木燁子
反・知性的な日暮里d‐倉庫『出口なし』フェスティバル 芦沢みどり

 
「やっと」 小暮香帆 ダンサー・振付家
「男性中心と創作過程」 黒須育海 ダンサー・振付家