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縦と横
柴田恵美 振付家・ダンサー


 
「前衛であるということは死んだものが何であるかを知っているということ。後衛であるということは、死んだものをまだ愛しているということだ。」 ロラン・バルト

 世の中は進んでいて、自分がみるべきものをミて、キイて、カンジてシヌ。心の中にある想いに浸りつつ、遠くの自分が冷静に監視している日々。毎日違っていて常に更新している日常。

 命は自分の親から受け継いで、それだけの先祖を持ってこの世に生まれている。その人は世の中にひとり。どれだけ尊いことだろう。どこにいても自分、あなたはあなた。先祖(縦の繋がり)からの使命を受け持った誰もがその前衛ではないか。 では、いま生きている時代(横の繋がり)で現代的であり、かつ前衛であるかどうかを意識して作品をつくっているだろうか。創作をしている中で感じているのは、観客は形以外のカタチをみているということ。何かを受け入れて、そこに沿っていく作業から生み出される新しい関係。“受け入れる”とは、さらけ出し任せていくことであって、ただ静かに浸透するのを待っていることではない。それが自然とカタチになっていく。

 ダンサーとして踊ってきたテクニック、考えなくても動いてしまう形から形への繋ぎ。なぜ動いてしまうのでしょう。今までの表現、ダンスと思っている執らわれを一旦なくしてみると視野が広がり意図が明確になった。自分の奥にあり理解することが困難なものを見つけ出す。どのように作品をつくるのか定めないことは、今まで表現だと思っていたものを壊していくことかもしれない。しかしそれは記憶や経験、潜在意識の中からくるもので、代々伝わる先祖と同じで新しいということは決してないと思う。前衛とは後からついてくる結果であり、過程において大きく意識して求めているものではない。

 前衛=アバンギャルド=ヴァンガード──後衛に感謝しながら自分にしかない尊いあり方で前衛に捧げていこう。

柴田恵美 Emi Shibata
10才から新体操を始め、その後ダンサーに。ソロでは体操の経験を生かし、全身心を張り巡らし積み上げる踊り方、グループ作品では集中度の高さと造形力が持ち味。「ダンスがみたい!新人シリーズ」新人賞受賞。近年は児童バレエ、MV(asa-chang&巡礼、AMIAYA)、NHK教育番組の振付など活動の場を広げている。